先日日経新聞にこんな記事が掲載されていました。

(真相深層)イオンが「在宅店長」 人口減でも働き手確保、東北の試み :日本経済新聞

その言葉の通り、イオンの店長が「在宅勤務」もできる(2016年7月現在は1ヶ月最大5日まで)という制度です。

在宅店長制度について

ニュースから「在宅店長」制度についてちょっと掘り下げてみます。

  • 店舗管理職の人材に1ヶ月最大5日の在宅制度を認める
  • 始業と終業は専用端末で報告
  • 1日の連続勤務時間は8時間まで
  • 給与の減額はなし

在宅で仕事をしている時には店舗には部下が店長代理をしており、自宅で勤務している店長は販売契約書・報告書の作成、メール対応など、事務関係の業務を中心に自宅で行うわけですね。
介護や育児など、職場にずっといるわけにはいかない過程の事情がある方が利用しやすい制度になっています。

実際に東北の店舗で導入してみたところ、業務としてきちんと回っただけではなく、店長不在時に部下が代行して仕事を行うため部下の成長も早まったそうです。

これは面白いところで、店舗に限らず会社でも「上司が部下に仕事をなかなか任せられない」「部下は責任のある仕事をしたがらない」という流れから組織全体が成長しにくくなることがあります。
ところが上長が在宅制度(今回の例で言うと「在宅店長制度」)を使うことにより強制的に「部下に仕事を振らざるをえない」「部下は責任のある仕事をせざるを得ない」という流れになり、否応がなしに仕事に取り組むことになるので、組織としても成長するんですよね。

在宅店長制度は当初反対意見もあったそうですが、実際にやってみたところこのような副産物を得られたというのは面白いところです。

今後広がっていくであろう「働き方の多様性」

今回このニュースを見て考えたのは「働き方の多様性」というのは今後どんどん広まっていくのだろうな、ということ。

以前取り上げた「育児・介護休業法」についての話でも少し触れましたが日本の高齢化に伴い、今後介護問題が増えていきます。
「介護離職」という言葉もあるように介護のために職を離れなくてはいけないという事情の人も今以上に増えてくるでしょう。
そのような事態が深刻化してくると「会社に勤められる」という人が減っていき、会社も人材確保ができなくなってしまいます。

今回紹介したイオンのような在宅勤務制度の採用はこうした問題を解消する一つの方法。

「在宅勤務」とかけ離れたイメージのスーパーマーケットでこのような取り組みができるので、他のデスクワークの仕事などでもこうした働き方を採用していく流れになっていくのだろうなと予想しています。