不本意残業とは働いている人が望んでいないのに会社や仕事の都合でやむを得ず残業をすることです。本意ではない(不本意)なことからそのように呼ばれます。
対義語は「本位残業」で、こちらは本人が「もう少し仕事をしたい」等、本人が望んだことによって残業をすること、の意味となります。
塩崎厚労相の「不本意残業を根絶」発言
2016年9月23日の日経新聞に掲載された塩崎厚労相のインタビューで不本意残業についての言及がされました。
インタビューでは「長時間労働は日本の悪しき企業文化」とし、「意に反した長時間労働は我が国から根絶すべき」としています。
その中で36協定なども尻抜け状態とし、見直しが必要と発言しました。
36協定についてはこちら:覚えておきたい労働基準法。変形労働時間制と36協定。
実際に日本の長時間労働の文化はなくなるのか?
厚労相が「長時間労働」に触れたことは大きな動きなのかなと思っていて、国を挙げてこうした不本意残業を根絶していくのはいい流れかと思います。(現政権の「働き方改革」の取り組みの一つに「長時間労働の是正」があります)
これを書いているのが2016年なのですが、実際に日本から長時間労働はなくなるのでしょうか?
私は少なくともあと10〜20年は残業、特に不本意残業は日本の文化から消えないのではないかと思っています。
理由の一つは日本人の根っこの部分に「長時間労働=よく働いている」という意識が消えていないということ。
多くの会社では定時に帰りにくい、有給を一つ申請するのに上司に怪訝な顔をされたりという側面があります。特に中小企業などでは多いですね。
こうした風土の会社がまだまだ多いため、「長時間労働を根絶する」という思想だけではどうにもなりません。
もちろん政府も法整備などを行い統制をしていくという方向に向かうかと思うのですが、ここで厄介なのが日本独自の「サービス残業(サビ残)」という文化。
サービス残業が入ってしまうと数値上は「残業がなくなった」となっていても、実態は「不本意残業の温床」となっていることも多いです。こうなってしまうと、法規制をしても難しいですよね。
いずれサービス残業なども細かく規制されていくと思うのですが、そこまでいくのには10〜20年かかってもおかしくないです。
だからといって「じゃあ10〜20年待ってみよう」とはなりませんよね。
将来的には残業周りの労働環境も改善されていくのだと思いますが、今まさにこの時に残業を減らしたいということであれば会社ぐるみで残業を減らそうという取り組みをしているところに行くしかありません。
※残業のない(少ない)会社を探す方法はこちら:転職して残業なしの正社員で働きたい…でもそんな会社、本当にあるの?
国が「長時間労働を減らす」という取り組みをしているのは大変素晴らしいことですが、国の動きを待っているだけではあと10年近くは長時間労働削減の動きにあやかれないような気がしています。