希望退職とは会社が経営状態の立て直しに向け、自主的に退職する従業員を募集することを言います。早期退職、早期優遇退職などと呼ぶこともあります。
一般的に希望退職には退職金が割増で支払われるなど優遇がされることが多いです。
希望退職を始める会社はどういう状態が多いのか
最初に希望退職を募集する会社について(一般的に)どういう状況なのかを知っておきましょう。
まず一番明確なのは「経営状態が好ましくない」ということです。
冒頭に記載した通り、退職金を優遇してまで退職者を募集しているということなので人員削減をしなくては経営が立て直せない(あるいは立て直す手立てが少ない)と状態です。
会社によっては内々で退職対象者を決めているようなところもあり、会社内で間接的に退職を促すように働きかけるところもあったり、希望退職の条件に「業務に支障をきたすような人物は不可」といったような条件を付記しているところもあります。
※これらは会社によって異なるので「希望退職を受け入れられた」=「会社に必要とされていない」というわけではありません。
希望退職を申し出ることによるメリットとデメリット
自分の会社で希望退職を募集し始めるのを目の当たりにするとほとんどの人が多かれ少なかれ動揺することになると思います。
そして瞬時に考えなくてはいけないのが「希望退職に応募するか、残留するか」ということ。
希望退職には募集期間や募集人員があるので自分の意志で決められるうちに判断しておいたほうがいいです。
希望退職を申し出る時のメリットとデメリットをピックアップします。
■メリット
- 退職理由が「自己都合」ではなく「会社都合」となるため失業保険の給付が速い(自己都合が3ヶ月後に対して会社都合の場合1ヶ月程度)
- 給付期間が長い(年齢等の条件によって異なりますが、条件が緩めになります)
- 経営が危うい会社を退職できる
- (次の職が決まるまで)自由な時間が手に入る
■デメリット
- 失業保険が給付されるものの、収入はなくなる
- 保険料などが自己負担になる(社宅だった場合は家賃も自己負担に)
- 再就職できるかわからない
希望退職に応募せず、会社に残留するにしても「人員配置が厳しくなるかもしれない(兼務や転勤など)」「倒産するかもしれない」などのリスクは常に潜んでいます。
動揺してしまうことなので同僚の動きなどをうかがいながら決めたいと思う人も多いですが、自分の人生なので自分自身で決断した方がいいです。退職するにしてもしないにしても、茨の道となっている可能性はあり、そうなった時に同僚が責任を取ってくれるわけでもありませんので…。
大手企業の希望退職事例
希望退職は中小企業だけの話ではなく、大手企業でも起こっています。
- シャープ(電気機器業):2012年に2,000人の希望退職を募集、2015年にも再度希望退職募集。
- グリー(インターネットサービス):2013年、200人の希望退職募集。
- メットライフ(保険):2016年、全体の半数にあたる4,800人の希望退職募集。
各業界では有名な大手企業が希望退職を募っています。そして大手だけに希望退職の募集人数が大規模です。
「大手企業でも安心できない」というのはよく言われる話ですが、こうした名前を聞いたことのある企業が希望退職をしているのを改めてみると現実感が出てきますね…。