日立がAIを利用したIoTプラットフォーム「Lumada」の効率生産システムを確立したということが発表されました。

「AIを利用したIoTプラットフォーム」というだけで頭が混乱してしまいそうになる人もいるかもしれませんが、ここではできるだけ簡単に噛み砕いて説明します。

今回の発表の概要

日立からの公式リリースについてはこちら。
ニュースリリース:2016年10月25日:日立「大みか事業所にて、IoTを活用した高効率生産モデルを確立」

まず最初に用語の簡単な説明です。

  • AI:人工知能。「Artificial Intelligence」の略。「人間が考えるのと同じような考え方を持つコンピューター」と考えてください。
  • IoT:「Internet of Things」の略。すべてのものとインターネットを繋ぐことにより、自動的に分析を行ったりするようなこと。(厳密にはもっと広義ですがここではこの程度の認識で問題ありません)

冒頭の「AIを利用したIoTプラットフォーム」というのは「人工知能とインターネットを使って分析を行う」といったような意味合いで考えてください。
現実に行われていることとしては、工場の様々な箇所にICタグやカメラなどを設定して、そのデータをAIが分析し、改善案を算出。その結果、作業の工数が半分になったというもの。
ざっくりいうと「データをコンピューターに渡して分析してもらって改善案を出してもらったら、作業日数が半分になった」というものです。

先日、東芝でも同じようなニュース(「東芝、AIを用いて工場の生産性向上を目指す」)がありましたが、コンピューターから「こういうふうにした方が効率がいいよ」と提案してもらうという世界が少しづつ見えてきています。

日立はこのソリューション技術「Lumada」を2017年度より提供する予定です。

人間の動きがコンピューターに評価されるという驚き

今回のニュースで一番目新しいと思ったのは「人間の動きをコンピューター(AI)が分析して改善案を出す」という部分。
従来であればコンピューターの出来や不具合などを人間が評価して改善していくような流れだったのですが、その逆転とも言える現象が起こっていることには驚きました。
単純に人間の仕事を脅かすということではなく、これから先、高齢化により労働人口が減少してくことが想定されている日本では「少人数でも効率的に現在と同じような生産性を保つことが出来る」というメリットもあります。

その一方で単純作業などはコンピューターが一番生産性の高い方法を編み出してしまう、あるいは、コンピューターが人間の代わりに行ってしまうなどの動きは今後次々に出てくるといえるでしょう。

単純に人間とコンピューターが対立するという構図ではなく、「効率」「非効率」のような判定についてはコンピューターに任せてしまい、そうではない発想面に人間は注力していくというような構図になるのが理想的ですね。

コンピューターが現在の人間の仕事の多くを奪っていくという時代はもう少し先、少なくとも5年以上先になると予想されます。
今からできることとして、日々淡々と何も考えずに仕事をするのではなく「人間として強みを持てるのはどこなのか、機械に取って代わられない仕事はどのようなものなのか」ということを頭の片隅においておきながら仕事をすると将来にそんな時代がいざ目の前にでてきても焦ることはないのかなと思います。