昨今、日本の過労問題が見直されるようになってきました。
その対策の一つとして「勤務間インターバル規制(勤務間インターバル制度とも言います)」という制度があります。
勤務間インターバル規制(制度)とは
勤務間インターバル規制(制度)とは、会社を退社してから翌日に出社するまでに一定期間の時間を空けるという制度です。
例えばインターバルを12時間と設定している会社であれば退社時間から12時間空けて出社しなくてはいけません。
これは会社で定められている出社時刻よりも優先されます。
例を挙げてみましょう。
定時が午前8時30分〜午後5時30分、インターバルを12時間に設定している会社があったとします。
その会社で22時まで残業をして退社した場合にインターバルを12時間空けなくてはいけないため、出社時刻が午前10時となります。
また現日本政府も「働き方改革」の一環として、必要なソフト導入費に助成金を出すなど後押しをしています。
休息時間が確保できるのが特長
この制度のメリットとしては「休息時間が確保できる」ということです。
前述の例で言うと、従来までは22時まで残業をしても、翌日の8時半には出社しなくてはいけませんでした。
もし帰宅までに1時間かかるとすると家についた頃には23時過ぎ、お風呂などいろいろなことをして、さあ寝ようという頃にはもう0時を過ぎてしまっていることが予想されます。
そして翌日の出社に合わせて6時半位に起き…となっていると睡眠時間も満足に取れません。
インターバルを空けることを義務付けられると、遅く退社してもその分遅く出社することになるので一定期間の休息が保証されます。
先程の例で言うと午前10時に出社すればいいことになるので、少なくとも8時くらいまでは寝ていられそうですね。
その一方で「インターバルさえ空けておけば一定期間の休息が保証されるので残業が常態化する原因になるのではないか」という指摘もあるため、残業を減らす仕組みも合わせて求められます。
EUでは1993年に導入されている制度
この制度はEUでは1993年(2000年に一部改定)の「EU指令」で定められています。
1)24時間につき最低連続11時間の休息期間を付与
2)6時間を超える労働日につき休憩時間を付与(付与条件は加盟国の国内法や労使協定で規定)
3)7日毎に最低連続24時間の週休及び11時間(1日の休息期間)の休息期間を付与
4)1週間の労働時間について、時間外労働を含め、平均週48時間以内の上限を設定(算定期間は4カ月)
5)最低4週間の年次有給休暇を付与――などを内容としている。また、週48時間労働の特例規定(オプト・アウト)を設け、使用者があらかじめ労働者個人の同意を得ている場合には、4カ月平均週48時間を超えて労働させることができるとした(イギリス、マルタなどが活用)
(労働時間と働き方(EU:2005年5月)|フォーカス|労働政策研究・研修機構(JILPT))
一部改正されながら運用されているものの、制定されたのが20年以上の話です。
日本の労働環境づくりがいかに遅れているのかがわかりますね^^;
日本では大手企業を中心に導入している
日本でも大手企業を中心に導入する会社が増えてきています。
代表的な会社を挙げてみましょう。
企業 | インターバル時間 |
---|---|
三井住友信託銀行 | 9時間 |
JTB | 9〜11時間 |
ホンダ | 12時間 |
シャープ | 10時間 |
いなげや | 10〜12時間(2017年導入予定) |
おおよそ9〜11時間ほどに定められているところが多いようです。
また、時間数を確定するだけではなく、休息が取れているかどうかを管理している会社もあります。
例えばKDDIはインターバルを8時間と設定。それ以外にもインターバルが11時間を下回る日が11日以上ある場合には個別で面談を行っているなどの取り組みを実施し、制度が形骸化しないように運用しています。
働き方を変えようとしない企業は労働者側から見放すべき
勤務間インターバル規制についてはあくまで各企業が取り組む労働環境改善の一環です。
会社単位の働きかけなので、労働者の環境を改善しようとする会社は改善しますし、改善しない会社はいつまでたっても改善しません。
こういう世の中の流れを見ていて思うのは、改善しない会社は労働者の方が会社を見放すくらいの気持ちのほうがいいということ。
労働環境がひどい会社で働き続けてしまうと、経営者が「この労働環境でも問題ない」と考え、そのまま突き進んでしまうからです。
そんな会社で働き続けても自分自身の得になりません。
世の中には前述のように環境改善を整えている会社がたくさんあります。
労働者はそうした優良企業を選べる時代になっているので、ダメな会社には早く見切りをつけ、良い企業に行くべきでしょう。
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