よくある転職の理由として「キャリアアップ」というものがあります。
私も面接官をやっている立場なので、現場では「キャリアアップのため…」という言葉をよく聞きます。
…が、果たしてその「キャリアアップ」はどれくらいの人が本音で言っているのでしょうか?
「みんなの転職のきっかけは? 転職を迷った時の対処方法。」でも書いた通り、転職のきっかけの多くはネガティブ要素で、キャリアアップというのは後付けであることが多めです。
そういう概念のものなので面接官側からすると「キャリアアップのため」という言葉はいわゆるテンプレートな回答で実は全く心に響きませんし、キャリアアップを前面に押し出してくる人の多くは(私の感覚値では)不採用になっています。
今回は転職の目的における「キャリアアップ」について考えてみることにしましょう。
「キャリアアップ」と言う人は何も言っていないのと同じ
冒頭で「キャリアアップを前面に押し出してくる人の多くは(私の感覚値では)不採用になっています」ということに触れました。
客観的に見ると分かりますが、そういった応募者の人は実は何も述べていないのと一緒なんです。
次のようなやり取りを読んでみてください。
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面接官「当社に応募した理由は何ですか?」
応募者「御社は◯◯の技術で業界の中でも最先端を行っており、新しい事業にも挑戦しています。そういった会社に入ることで自分自身のキャリアアップに繋がるのではないかと考えたためです」
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(面接続く)
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面接官「最後の質問なのですが、もし3年後、5年後、10年後などなにか具体的にこうありたいという展望があれば教えて下さい」
応募者「そうですね・・・入社してからまた具体的になっていくかと思うのですが、まずは目の前の仕事に打ち込みたいと考えています」
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いかがでしょうか。実はこの手の面接は非常に多いんです。
「自分自身のキャリアアップに繋がる」としつつも、将来の展望を聞くと中身が何もないというケース。
「どう段階的にキャリアアップをしていくのか」がまったく明確になっていません。
面接官側からすると「ああ何も考えていないんだな」と感じてしまいます。
「キャリアアップ」という言葉を使うのをやめる
実際に自分の中の「キャリアアップ」の定義を明確にできている人はほとんどいません。
逆に言うと自分の「キャリアアップ」の定義を明確にできれば応募者の中でも頭一つ抜けると言ってもいいでしょう。
そうなるためにどうすればいいのか?
いっそのこと「キャリアアップ」という言葉を捨ててしまいましょう。
「キャリアアップ」という言葉を使っていることの問題として「何かいいことを言っている気になってしまう」というのがあり、本人もそこに無自覚です。
敢えて「キャリアアップ」という言葉を使わないことで、自分が何を目指しているのかが明確になってきます。
前述の面接の例で言うと次のようになります。
・「キャリアアップ」を使った場合
応募者「御社は◯◯の技術で業界の中でも最先端を行っており、新しい事業にも挑戦しています。そういった会社に入ることで自分自身のキャリアアップに繋がるのではないかと考えたためです」
・「キャリアアップ」を使わない場合(1)
応募者「御社は◯◯の技術で業界の中でも最先端を行っており、新しい事業にも挑戦しています。今ひとつの業界が安定的に成長をすることは少ないと考えております。新しい事業に次々にチャレンジする企業に入社することでビジネスパーソンとしての能力が高まるのではないかと考えました」
・「キャリアアップ」を使わない場合(2)
応募者「御社は◯◯の技術で業界の中でも最先端を行っており、新しい事業にも挑戦しています。前職は同業で社内の部門では部門長として働いておりました。そこから業界トップの御社で働くことにより更に自分の能力を高めるとともに、私が培ってきた経験も活かせるのではないかと考えました」
より具体的になりますね。
もし「キャリアアップという言葉を使わないと会話ができない」という人がいたら、具体的な考え方や展望が足りていない一つの証拠とも言えるので、これを機に自分のこと・将来のことを考えなおしてみましょう。
もし転職の段取りが決まっていなかったら
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