近年、仕事の過労についての問題が頻出しています。
過労の難しい部分は「自分は過労かもしれない」「でもまだ他の人に比べたら過労ではないのではないか?」というような、自己判断がどうしても厳しくなってしまうこと。
自己判断が厳しくなることにより、気付いた時には本当に大変な状況になっているといったことが多々あります。

もしこのページを見ている人で「今の職場で過労でもう限界を迎えているかも」と感じている人がいたら、すぐに休むことを検討しましょう。

過労についての基準はない

一般的に過労の時間の基準として残業が1ヶ月に80時間を超えることが基準と言われています。
この時間は元々厚労省の「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」で発表された脳・心臓疾患と労働時間の関連性の部分が元になっています。
当該部分を抜粋してみましょう。

発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について

この時間を超えて働いているような場合には脳や心臓疾患系の病を引き起こすリスクが高くなるということです。

ただ、あくまでこの時間数については傾向値であり、かつ、月の残業時間が80時間を超えるというのはかなりひどい状況なので「過労」の参考にするラインとしては基準が高すぎます。
もちろん一種の基準にはなるのですが「80時間を超えていないので過労じゃないのでは…」と考えてしまうのは間違いです。

ではどういう基準で判断すればいいのかというと自分が率直に「もう限界」と思ったら限界と考えていいでしょう。

精神障害に係る労災支給が増加している

「自分が率直に「もう限界」と思ったら限界と考えていい」と書いたのにはわけがあります。
まず最初にこちらの記事を読んでみてください。
※8ページマンガなので読みやすいです。

過労自殺…それでも「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由(マンガ)

見ていただくと分かる通り、我慢を重ねて、ストレスを溜める、睡眠不足になるというような状況になることで自分で正常な判断を下すことができなくなるようなケースもあります。
「本当に限界」となってしまった時には、疲労が重なりすぎて判断そのものが狂ってしまうような場合があるということなんです。

次に厚労省データの「過労死等に係る統計資料」から「脳・心臓疾患に係る労災支給決定件数の推移」と「精神障害に係る労災支給決定件数の推移」を抜粋します。

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「脳・心臓疾患」の労災決定件数については一時期よりも減少傾向にありますが、「精神障害」についての労災決定件数についてはここ数年で大きく増加している傾向にあります。

あくまでひとつの仮説ですが、精神障害系の労災については単純に時間数的に働きすぎという問題だけではなく、セクハラやパワハラを含めて精神的な負荷の大きい環境が多いのではないかということが考えられます。
そうなってくると「80時間を超えたら」などという問題では考えられませんよね。
精神的な圧迫のある時間を重ねることで、時間数は多くなくとも自分にとっては「過労」となってしまうこともあるのです。(最悪なケースは時間数と精神的な負荷の両方が重なってしまういわゆる「ブラック企業」のケースですが…)

単純に時間数云々ではなく「自分が限界と思ったら限界と考える」と言ったのはこうした理由からです。

※またストレスから「涙が勝手に出てくる」「震えが止まらない」「吐き気がする」などの身体症状が出てくることもあります。症状にまで出た際には身体が危険信号を出しているサインなので必ず病院に行きましょう。

自分で「もう限界」と判断できるうちに休むこと

さて「自分が限界」と思った時にどうすればいいかですが、まず休みをきちんと取りましょう。
休職制度などが会社にあるのであれば申請してもいいでしょうし、精神的な限界が来ているのであれば心療内科に相談してもいいでしょう。
ともかく自分が「もうそろそろまずい」と思ったその時が休むタイミングです。

仮に会社を退職することを視野に入れている場合、失業のリスクも含めて転職先を決めてから退職した方がいいですが、自分の身体や精神的に難しい場合には退職し、少し休んでから転職活動をしてもいいでしょう。

自分の身体があってこその人生です。ともかくまずは自分がきちんとした状態に戻れるようになるまで休むことを考えましょう。