残業代が出ない会社は当たり前ではない

昨今、色々な会社で働き方や労働環境が見直されている中、まだまだサービス残業が蔓延していたり、残業代などでなくて当たり前といったような風潮の会社があります。

残業代が出ないような会社にいると「一般的にどこもサービス残業なんてやってるものでしょ」「世間も同じような状態」と思ってしまいがち。

ただ、はっきり言ってしまうと残業代が出ないような労働環境は当たり前ではないですし、時代遅れです。

もしこれを読んでいるあなたが残業代が出ない会社に勤めているのであれば将来のことも含め、その環境に身をおくべきかどうか考え直した方が良いでしょう。

残業代が出ないのは違法か？

まずはじめに残業代が出ないことが違法なのかどうかについて。

原則として残業代はきちんと支払われなくてはいけない旨が労働基準法に掲載されています。
抜粋してみましょう。

（時間外、休日及び深夜の割増賃金）
第三十七条 　使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

記載されているように残業をした場合、会社は所定の賃金の25%〜50%増しで残業代を支払わなくてはなりません。

法律でこのように定められているので、残業代が支払われない、あるいは割増されないというのは違法になります。

みなし残業を含めた契約の場合

最近よく見られる契約形態のみなし残業を含めた

「基本給に◯◯時間の残業代を含む」

と基本給に設定しているような場合、その「◯時間」分の残業代は支払われなくても問題ありません。

ただし、この「◯時間」を超えて残業をしたような場合には会社側には残業代を支払う義務があります。

みなし残業を超えた分を支払われなかったり、申請しても通してもらえなかったような場合には違法となります。

自分自身の会社の環境を振り返ってみて怪しかったり、不明確な部分がある場合には上司や人事に聞いてみたり、社内で聞きにくいといったような場合には地域の労基に相談に行ってみてください。

残業代請求も可能だが難易度は高め

「実際には難しい残業代請求。そんな会社は早めに見切りをつけよう」で別途まとめていますが、仮に会社が違法な対処をしていた場合、残業代は請求することが可能です。

代表的な方法は次の通りです。

1. 上司や人事部に相談をする
2. 労働局に相談する
3. 弁護士に相談する

1の「上司や人事部に相談をする」で全てが解決すれば一番楽です。
ただ、ここで解決するような場合にはうっかりミスや手違いなどで支払われていなかったというようなケースがほとんどで、そういう場合はそこまでブラック企業ではないことが多いです。

多くのケースでは企業体質として「残業代を支払わない」という状態になっているので「労働局に相談する」「弁護士に相談する」というのが現実的な対処方法になるのですが、実際にやろうとすると腰が重くなってしまいがちです。

残業代が支払われる会社は世の中にたくさんある

「確かに残業代が支払われないのは腹が立つけど労働局や弁護士に相談するまででもない」と考えてそのままその環境に居続ける人が多いのですが、私はこれをきっかけに転職を検討することをおすすめします。

というのも、私自身、飲食業で膨大なサービス残業を強いられながら「まあでも世の中的にはこういうものなんだろうな」と思っていたのですが、実際に転職活動すると世の中には残業代がきちんと支払われる会社や残業がほとんどない会社があることがわかりました。

残業代が出ない、サービス残業が蔓延している会社からそうではない会社に行くと「本当に当時無駄な時間を過ごしていたのだな」というのが心の底から理解できるようになります。

習慣とは恐ろしいもので、ブラック会社にいると「それが当たり前」なものの、外に出るとまったく違うということが実感できます。

残業代が出る会社に転職するには？

実際に転職したとして、また同じようなサービス残業が常態化している会社に行ってしまっては転職が本末転倒になってしまいます。

そこで2つの事前対策をオススメします。

1.会社の口コミサイトを見る

転職活動を始める前からキャリコネのような会社の口コミサイトで情報を集めておくことをおすすめします。

例えばキャリコネで言うと残業代や休日出勤の状況など、現役社員や以前勤めてた社員の口コミが集まっています。
転職サイトなどの求人情報で「残業はほとんどなし」と書いていても、それらの評判を確認してみると「残業だらけ」などの書き込みがあったりすることもあります。
※私が使ったことのあるサイトとしてキャリコネを代表例として挙げていますが、最近は他にも「カイシャの評判」「OpenWork（元Vokers）」など評判を集めた様々なサイトがありますので必要に応じて自分自身と相性のいいサービスを探してみてください。

2.転職エージェントを使う

また転職サイトではなく、転職エージェントも活用します。

転職エージェントを使う際に、きちんと自分が「残業代が出る会社」あるいは「残業がない・少ない会社」を求めていることを伝えるとエージェントのコンサルタントさんが「残業に対して管理している会社」を探してくれます。

転職サイトの場合、誇大して書かれていることもあるので、エージェントを使った方がより懸命です。

こちらも参考にどうぞ
【正社員必見】定時で帰れる仕事の会社に転職するには

そもそもの残業についての認識も考え直そう

サービス残業が当たり前の会社に所属していると「残業代が出ることが素晴らしい！」と錯覚してしまいがちです。

もちろん「残業代が出る」というのはサービス残業よりは断然素晴らしいのですが、理想は次のようなもの（と私は考えています）。

残業なし（仮に残業をした場合には残業代が出る） ＞ 残業代が出る ＞ 残業代が出ない（サービス残業）

残業代が出る会社に行ったとしても「残業代が出る会社に行ったけど地獄のような残業数がある」という可能性もゼロではありません。
（実際にそういう環境に行ってしまって残業代は出るようになったものの体調を崩してしまう人もいます…）

転職を検討する際には（残業があってもお金がとにかくほしいのか、残業はできるだけ少ないほうがいいのかなど）できるだけ自分が気持ちよく快適に働ける職場を探しましょう。