介護離職とは家族などの介護をするために就いている仕事を離職することを言います。
日本は高齢化が進んできており、介護離職の動きが強まってきており、2012年の政府の調査では年間10万人もの介護離職者が出ています。
本項では介護離職の問題点や、対策などをまとめました。
介護離職の状況
まず介護離職の数の状況について。
政府の「就業構造基本調査」(2012年までのデータ)によると2012年の段階で介護離職が年間10万人を超えています。
2008〜2012年の介護離職の状況をグラフにしました。
(「平成24年就業構造基本調査結果」P.72〜73)
年によってまちまちですが、年間8〜10万人の介護離職者が出ていることがわかります。
介護に携わる男女比としては女性の方が圧倒的に多く、性別比でも8割です。
ここ数年のデータは公表されていないものの、介護離職系の問題が表に出てくることが多いのを見ると減ってはおらず、このままの推移か、増加していると考えるのが自然な考えでしょう。
介護離職の問題点
介護離職は「働く側(介護する側)」「企業側」の両面で問題があります。
両者の観点から見てみることにします。
働く側(介護する側)の問題点
まず働く側の問題です。
介護のために離職することにより、付きっきりで親の介護ができるというのは一つのメリットですが、付きっきりで介護しているため働くことができず無収入となります。ここが一番の難点と言えるでしょう。
多くの人は「介護サービスに任せるお金がない」と考えてしまいがちなのですが、自分で介護するとサービスにかけるお金がかからない反面、収入もなくなってしまいます。
普段の生活をするのにお金がかからないわけではないので、結局のところお金の問題は重い問題としてのしかかってきます。
また介護離職をする年代は中高年の年齢層であることが多いため、介護で一旦離職してから再就職するのは難しくなってきます。
収入面から見ると離職しないで介護サービスを活用する、というのが一番の正攻法に見えますが、実はその方法もそこまで単純でもなく介護サービスが足りていないという現実もあります…。
企業側の問題点
次に企業側の問題点です。
特に今後高齢化が進むに連れて増えてくるであろうことが想定されるのは、労働者の介護離職が増えるということ。
離職介護が増えるとどうなるかというと、企業としての労働力確保が難しくなるということです。もっと大きな視点で見ると日本の経済力が落ちていくという考え方もできますね。
現在政府が「介護離職ゼロ」という政策を打ち出していますが、それ以外に企業単体での介護離職に対しての取り組みも強化せざるを得ない状況になってくるといえるでしょう。
介護が必要になったらどうするべきか
介護が必要になった際に覚えておいた方がいいことは主に2つです。
一つ目は政府の介護支援制度を活用すること。
政府の介護支援制度「育児・介護休業法」「介護休業給付」については活用しないともったいない制度なので活用しましょう。
詳しくは政府のサイトを確認してみてください。
- 育児・介護休業法:育児・介護休業法(介護関係制度)の内容※2017年1月から制度が少し変更になり、利用しやすくなります。
- 介護休業給付:介護休業給付の概要
介護休業制度も2012年の段階で3.2%ほどしか使われていないとされているので知らない人が多そうですが、知っているのと知らないのとでは生活に大きく違いが出てきます。必ず確認しましょう。
二つ目は(基本的には)離職をしないことです。
これは前述の通りですが「収入がなくなってしまう」「介護が必要でなくなってから再就職をしようとしても難しくなってしまう」という観点からです。
厚労省のサイトでも「介護に直面しても、すぐに退職することなく、仕事と介護を両立するための制度を活用して、仕事を続けながら介護をしましょう。」ということが明記されていることからも、退職することには大きなデメリットがあります。
極力、退職をしないで介護を出来るような体制づくりをしましょう。