ファミリーレストラン大手のロイヤルホールディングスの「ロイヤルホスト(ロイホ)」が24時間営業の廃止と定休日の導入を検討しているというニュースが発表されました。
深夜の利用者にとってはやや不便になってしまう話ですが、外食産業に従事する労働者目線から見るとかなり画期的な話です。
今回のニュースの概要
最初に今回のニュースの概要を。
元々ロイヤルホストでは2011年から営業時間の短縮を行っており、現在では24時間営業を行っている店舗が東京の府中東店と大阪の桜川店の2店舗しかありませんでした。今回ニュースになったのはこの2店舗が2017年の1月に深夜営業を廃止するという流れになっていて、実質全店舗の24時間営業廃止が決まったことからです。
定休日については具体的に導入予定はないもののロイヤルホールディングスの黒須社長が「考えるべき時代が来ている」と発言したことよりニュースになっています。
飲食業界で働いている人、あるいは、飲食業界で働いたことのある人(私)からするとこれは相当大きなニュースです。
労働者にとって24時間営業の何が問題なのか?
労働者として24時間営業は何が問題なのか考えてみましょう。
まず飲食業界は慢性的な人手不足というのが現状です。
ハードな仕事なのでアルバイトを募集しても人が来ない、入ったとしても辞めていく…そのしわ寄せは正社員や店長に来る、という状況です。
そして24時間営業で一番大きな問題は一日中お店を運営しないといけないので、人が足りない場合には正社員や店長がそのまま働くことになります。
以前、私の実体験を踏まえてこんなことを書きました。
1/20 10時〜23時のシフト
1/21 10時〜17時のシフトという時に23時から入っているアルバイトさんが急遽休んでしまったとしましょう。
そのアルバイトさんが23時から10時までというシフトだった場合、これが本当のひどい状況です。1/20 10時〜1/21 17時(合計31時間)
こういうシフトが出来上がってしまうわけですね。
(24時間(深夜)営業の会社に転職するメリット・デメリット)
実際に飲食の現場では日常的にこうしたことが起こっています。
ハードな労働が繰り返される結果、正社員や店長が疲弊して退職していく、そしてますます人がいなくなる…というような流れができてしまいます。
しかも、こんな現状がある中、会社は出店数増加を目指していたりするので会社全体で見るとどんどん悪循環に陥っていくのもまた問題なんですよね。
24時間営業を廃止することによって「どんな状態であれとりあえず休むことが出来る」という環境ができるのは働く側の人にとっては非常に大きなことだと言えます。
飲食業に限らずこうした労働環境の改善はもっと進めていくべき
今回のロイヤルホストの件は他の飲食業もぜひとも見習ってほしいなというのが元飲食店店長としての意見です。
(私は耐えきれずに転職してしまいましたが、実際に働いている側はかなりきついです…)
また飲食業に限らず、人手不足と労働環境の問題においてはどの会社でも課題になっているところなので、労働環境改善の良い事例として見習ってほしいものです。
余談ですがこういう改善って、実際にネットなどで劣悪な環境が話題になってから改善すると「ブラック企業」という悪評が広まってしまって会社的にもマイナスになったりします。
ワタミやすき家なども順次労働環境の改善をしていますがなかなか「ブラック」という評判が消えないのを見るとよく分かるでしょう。
日本の会社が自主的に自分たちの環境を変えていってくれることを願うばかりです。